Time Capsuleやその他のネットワークストレージアプリケーションは“個人用クラウド”ストレージ共有を提供することで、大変人気を得ています。当然、このストレージはバックアップのコピー先として魅力的に映ります。ケーブル接続なしですべてをバックアップできるという考えに心を奪われそうになるでしょう。事実、このストレージはメディアファイルの共有には非常に適しています。しかし、大容量のデータをバックアップするのは、macOSのシステムデータをこれらのデバイスにバックアップするのと同様、実用的にも物理的な移動の観点からも障害があります。また、ネットワークボリュームからフルシステムバックアップを復元するにも物理的な移動の観点からハードルとなるでしょう。以下に、macOSシステムファイルをネットワークボリュームにバックアップする方法を説明します。その後、この方法が持つ制限とパフォーマンスの予想をご説明します。
起動の可能性 (bootability)について: ネットワークボリュームに保管されているバックアップからMacintoshを起動することはできません。起動可能なバックアップを必要とするのであれば、 またはシステムファイルを復元する必要がこの先1度でもあるとすれば、Macに直接接続された外部ハードドライブエンクロージャを使用して、起動可能なバックアップを作成する必要があります。
macOSをネットワークボリュームにバックアップするには
ドキュメントのこのセクションで説明したように、CCCはシステムファイルをローカルに接続された HFS+ システムファイルに(または、ファイルから)のみバックアップします。この必要を満たすために、CCCがコピー先のネットワークボリュームにディスクイメージを作成するよう設定することができます。ディスクイメージとは、別のハードドライブの内容を含むシングルファイルです。ディスクイメージファイルをダブルクリックすると、まるでMacに直接接続された外部ハードドライブであるかのように、ディスクイメージのボリュームがローカルにマウントされます。CCCでディスクイメージをバックアップするには:
- ソースセレクタからソースボリュームを選択します。
- “新規ディスクイメージ…”をコピー先セレクタから選択してください。
- データのバックアップをアーカイブするつもりがない場合、読み取り/書き出しが可能な“スパースバンドル・ディスクイメージ”ファイルを作成するオプションを選択してください。このオプションが利用できない場合、代わりにスパースイメージファイルを作成するオプションを選択してください。
- ディスクイメージファイルを保存する場所を指定しします。新規ディスクイメージの保存ダイアログ*のサイドバーにネットワークボリュームが表示されます。
- クローンをクリックすると、CCCはバックアップボリュームにディスクイメージを作成し、指定されたデータをバックアップします。タスク完了後、ディスクイメージがマウント解除されます。
* ネットワークボリュームへのアクセス権を得るための手順は、macOSヘルプセンターから利用できます。ネットワークボリュームがCCCのソースまたはコピー先メニューに表示されない場合、アクセスしたいストレージデバイスに添付されたドキュメントを参照するか、Finderのヘルプメニューから“ヘルプセンター” (Yosemite以降は“Mac ヘルプ”) を選択し、“サーバに接続する”を検索してください。
ネットワークボリュームにバックアップする際のパフォーマンスの予想
“利便性”と“速さ”は通常相伴うものですが、ネットワークボリュームへのバックアップに関してはその類いではありません。バックアップのパフォーマンスを劇的に低下させるファクターがいくつかある中で、このバックアップ方法にはそのファクターが複数含まれています。
ワイアレス接続でデータをバックアップすると、Ethernet接続でバックアップするよりもかなり時間がかかります。 802.11nネットワークは、最高の条件で、約300 Mb/sのレートの帯域幅をサポートします(理論上)。しかし、通常それよりもずっと遅い速度で動作します(130 Mbps以下、16 MB/sに相当)。帯域幅はベースステーションから離れるほど大幅に低下し(Macとルータの間にある木製のドアは信号を半分にカットします)、ファイル共有プロトコルオーバーヘッドはアーカイブ可能な帯域幅をさらに低下させます。つまり実際には、ベースステーションのすぐ横に座っていても、ワイヤレス接続で8 MB/s あればラッキーということです。Yosemiteまたはそれ以降を実行している場合、そのパフォーマンスはApple Wireless Direct Link (AWDL)が原因で半分にカットされることがあります。そのため、Airportカードのインターフェースの帯域幅は通常のWiFiネットワークとMacがホストする臨時ネットワークの間で共有されることになります。
第4世代Airport Extremeベースステーション (802.11n) にシンプルな帯域幅テストを実行し、パフォーマンスが低下するか実験しました。100MB のファイルをUSB経由でベースステーションに接続された外部ハードドライブに3つのシナリオでコピーを実行しました: 1.ベースステーションにEthernet接続する2. ベースステーションから2、3フィート離す3. ベースステーションから家1軒離れる(約35フィート。ベースステーションの見通し距離内ではありません)。結果は、3つのそれぞれシナリオの順序通り、6.5s (15.5 MB/s)、18.7s (5.3 MB/s)、および 256s (0.39 MB/s) となりました。ですから、ワイヤレス接続でバックアップを試みる前に、接続の速さを確認するために、Finderでシンプルなテストを実行することをお勧めします。100MB のファイルをコピーするのに1分以上かかる場合、その接続は実用的なバックアップ目的には遅すぎます。
ネットワークボリューム上のディスクイメージにバックアップするのは、ネットワークボリューム上のフォルダにバックアップするよりも速くできます。 このパフォーマンスの違いは、ドキュメントの ネットワーク機器のパフォーマンスの遅さはディスクイメージにバックアップすることで緩和できますで説明されています。この説明はディスクイメージへのバックアップの方法が記載されていますので、これらの手順に従う限り、可能な限りの最高のパフォーマンスを得ることができます。
バックアップのパフォーマンスはストレージを直接Macに接続することで向上できます。 外部ディスクをワイヤレスネットワークルーター(例:ベースステーション、Time Capsuleなど)に接続しようと考えている場合、初回バックアップの際、ストレージを直接Macに接続することをお勧めします。必ずこのストレージのディスクイメージにバックアップしてください(上記の方法通りに)。初回バックアップが終了後、外部ハードドライブをベースステーションに接続し、CCCのコピー先メニューから“ディスクイメージを選択…”を選び、ディスクイメージをCCCのコピー先として指定することができます。
NASデバイスの中にはmacOSディスクイメージを格納できないものもあります。 SMB経由でマウントされたNASボリュームは、macOSのsparsebundleディスクイメージファイルを格納できません。これらのディスクイメージのタイプはSMBボリュームで安全にマウントできません(但し、この制限はSierra以降のシステムには適用されません)。ほとんどのNASボリュームは、sparseimageファイルをホストできますが、そのフォーマットのディスクイメージはモノリシックなファイルで、NASデバイスによっては4GBのファイルサイズ制限を課すことがあります。それにより、ディスクイメージにバックアップできるデータ量を制限する結果になります。NASデバイスがAFPプロトコルをサポートしない上に、4GB以上のファイルをサポートしない場合、NASデバイスでシステムファイルをディスクイメージにバックアップすることはできません。NASデバイスのドキュメントを参照して、macOSバックアップのサポートについての詳細を入手してください。
ディスクイメージのバックアップからシステム全体を復元するには
ディスクイメージのバックアップからシステム全体を復元するにはいくつかの課題が挙げられます。特に、復元を実行するには起動元となるその他のmacOSをインストールすることが必要です。Time Capsuleまたはその他のネットワークデバイスでディスクイメージのバックアップから起動することはできません。大惨事の中でバックアップに頼らなければならなくなる前に、この物理的な移動に関する課題を解く対策を準備しておいてください。詳しくは、ドキュメントのディスクイメージから復元するにはをご参照ください。